40代から学び直しを考えたとき、よく候補に挙がるのがFP3級と簿記3級。どちらも人気の定番資格で、難易度は近く、勉強時間もほぼ同じ。だからこそ「どちらから始めればいいの?」と迷いがちです。同じ40代として、私もこの問いに立ち止まりました。本記事では、40代の家計・仕事・将来という視点から、2つの資格をやさしく比較し、自分に合うほうを選ぶための判断軸を整理します。

左にFP(家計・お金)、右に簿記(会計)を分けて比較した、FP3級と簿記3級どちらを選ぶかのイメージ

結論:どちらから始めても正解。ただし「目的」で選ぶと迷わない

結論から書きます。FP3級も簿記3級も、40代の学び直しの第一歩として優れた資格です。難易度・勉強時間・コストはほぼ同等で、どちらから始めても損はしません。

選ぶときの軸は1つ。「学んだ知識を、どこに活かしたいか」です。

  • 家計・保険・年金・相続など、自分と家族のお金を整えたいFP3級
  • 仕事・経理・副業・経営の数字に強くなりたい簿記3級

もちろん「両方取る」という選択肢もあります。範囲の重なりが少ないので、知識が干渉せず、片方を取った勢いでもう片方に挑むのは、40代の学び直し戦略としてかなり相性がいい組み合わせです。

この記事でわかること
  • FP3級と簿記3級の違い(公表情報ベースの並列比較)
  • 40代がFP3級から始めたほうがいい人の特徴
  • 40代が簿記3級から始めたほうがいい人の特徴
  • 両方取るときのおすすめ順序とスケジュール例

FP3級と簿記3級の基本情報を並べてみる

まずは2つの資格を、同じ項目で並べて比較します。

FP3級 簿記3級
区分 国家技能検定(厚労省所管) 公的資格(日本商工会議所)
受験料 合計 8,100円(学科 4,000円+実技 4,100円・非課税) 3,300円(ネット試験・統一試験とも)
試験方式 CBT方式・通年実施 ネット試験は通年、統一試験は年3回
合格基準 学科・実技ともに6割(学科60点中36点以上) 100点満点中70点以上
合格率の目安 日本FP協会 70〜80%前後/金財 35〜50%前後 40〜50%前後(回によって変動)
勉強時間の目安 約30〜100時間 約100時間前後
学ぶ内容 年金・保険・税金・投資・不動産・相続の6分野 簿記の基本ルール・仕訳・決算書の読み方
40代に効く場面 家計の見直し・保険・住宅ローン・相続 仕事の数字・副業の確定申告・経営判断

難易度・勉強時間ともに近い水準ですが、合格率はFP3級のほう(特に日本FP協会)が高めに出る傾向があります。これは受験者層の違いも大きく、「FPのほうが簡単」とは一概に言えませんが、合格までの心理的ハードルはFP3級のほうがやや低いと感じる方は多いはずです。なお、FP3級は「日本FP協会」と「金財(きんざい)」の2団体が実施していますが、どちらで合格しても同じ「3級FP技能士」です。個人で独学・通信講座で挑むなら、受験者が多く情報も豊富な「日本FP協会」で申し込むのが一般的とされています。

もうひとつ大きな違いが、受験スタイルの自由度です。FP3級は2024年4月から完全にCBT化され、従来の紙の試験は廃止されました。通年で好きな日時・会場を選んで受験できるため、平日夜・土曜午前など、忙しい40代でも仕事や家庭の予定に合わせて柔軟にスケジュールが組めます。簿記3級もネット試験は通年で受けられるので、両資格とも「年に数回の試験日に縛られる」時代から大きく変わりました。

FP3級と簿記3級、どちらが自分に合う?40代タイプ別の選び方

難易度が近い以上、決め手になるのは「学んだ内容が、自分の生活と仕事にどう跳ね返ってくるか」です。タイプ別に整理します。

FROM
FP3級から始めるのが合う40代
  • 住宅ローン・保険の見直しを近いうちにしたい
  • 新NISAやiDeCoを本格的に活用したい
  • ふるさと納税や給与明細の「税金・社会保険料」の中身をきちんと理解したい
  • 親の相続・自分の終活が少しずつ気になり始めた
  • 「お金の話」になると分かったふりをしてしまう
  • 子どもの教育資金の作り方に自信を持ちたい
  • 会社の福利厚生・確定拠出年金を活かしきれていない
FROM
簿記3級から始めるのが合う40代
  • 経理・財務以外の部署だが数字の会話についていきたい
  • 管理職として損益計算書・貸借対照表を読めるようになりたい
  • 会議で飛び交う「営業利益」「コスト」「予算」の会話に自信を持って加わりたい
  • 副業や個人事業の確定申告を自分でやってみたい
  • 将来の独立・起業を視野に入れている
  • 株式投資で企業の決算情報を判断できるようになりたい
  • 転職市場で「数字に強い40代」のラベルを付け足したい

もちろん、これは「絶対」ではありません。家計の話に強くなりたいけど、まず取りやすいほうから始めたいという方がFP3級を選ぶのも自然ですし、仕事に直結させたいけど、お金の話も気になるという方が簿記3級から入るのもアリです。あくまで判断の補助線として使ってもらえれば十分です。

FP3級・簿記3級は40代の転職・履歴書で「無駄」になる?

40代でこの2つの資格を検索する方が、もうひとつよく抱える不安が「3級レベルで履歴書に書いていいのか」「未経験分野への転職で本当に評価されるのか」というものです。ここを2つに分けて整理します。

① FP3級・簿記3級はどちらも履歴書に書ける正式な資格

結論からいえば、FP3級も簿記3級も、履歴書に書ける正式な資格です。FP3級は厚生労働省が所管する国家技能検定(3級FP技能士)、簿記3級は日本商工会議所が認定する公的資格。いずれも「3級=基礎レベル」であることは事実ですが、独学で勉強して試験を突破したという事実そのものが、書類選考での印象を底上げしてくれます。「資格欄が空白」より「3級FP技能士」「日商簿記3級」と書ける方が、間違いなく強い1行になります。

② 40代の未経験転職で「無駄」にならない理由

40代の未経験分野への挑戦としては、「数字や家計の知識を体系立てて学ぼうとした姿勢」を示す材料として、3級は十分に機能します。実務未経験で30代・40代の応募者が並んだとき、資格保有者は「勉強する習慣がある」「業務に必要な基礎を独力で身につけられる」と見られやすいからです。さらに、FP3級・簿記3級はいずれも、FP2級・簿記2級という上位資格への足がかりにもなります。「3級で終わらせない」ロードマップが描けることも、40代の学び直しを「無駄」にしない大きなポイントです。

FP3級と簿記3級「両方取る」40代に相性がいい組み合わせ

FP3級と簿記3級は、基本的には学ぶ範囲の重なりが少ないため、知識がごちゃ混ぜにならずにリフレッシュして取り組めるのが特徴です。ただ、完全に無縁というわけではなく、たとえばFPの「タックスプランニング(税金)」で出てくる個人事業や所得控除の知識は、簿記の仕訳の背景を理解するのに役立つ場面もあります。簿記3級で「お金の出入りの記録の仕方」を身につけ、FP3級で「自分と家族のお金の設計図」を学ぶ——この組み合わせは、40代の人生後半戦に効くポートフォリオだと感じます。

両方取ると、こんな景色が見えてきます。

  • 家計簿が「ただの集計」から「将来計画の土台」に変わる
  • 会社の決算と自分の家計を、同じ目線で見られるようになる
  • 副業を始めたとき、税金・確定申告・経費処理に迷わない
  • 子どもや家族にお金の話をしっかり伝えられる

おすすめの順番は「取りやすいほう」から

順番に正解はありませんが、迷ったら合格率が高く心理的ハードルの低いほうから始めるのが現実的です。1つ受かるだけで「自分にもできる」という感覚が手に入り、次の挑戦に向けた燃料になります。

ちなみに私自身は、まず簿記3級から入りました。仕事で財務諸表を「なんとなく」でしか見られていなかったことへの苦手意識が、いちばんの動機です。通信講座を使って半年ほどで合格できたとき、数字への抵抗感がだいぶ薄れたのを覚えています。家計のお金がより気になる方なら、逆にFP3級から入るのも、もちろん自然な選び方です。

なお、よく聞かれるのが「2つ同時に並行して勉強するのはアリ?」という質問です。結論としては、あまりおすすめしません。簿記とFPでは頭の使い方が違うため、同時並行は脳の切り替えコストが大きく、どちらも中途半端になりがちです。まずはどちらか1つに集中し、合格の勢いのまま次へ進むほうが、忙しい40代にはずっと続けやすいはずです。

たとえば、こんなスケジュールが組めます。

家計重視ルート 仕事重視ルート
1〜3ヶ月目 FP3級の学習 → 受験・合格 簿記3級の学習 → 受験・合格
4〜7ヶ月目 簿記3級の学習 → 受験・合格 FP3級の学習 → 受験・合格
合計コスト 受験料 11,400円+教材費 受験料 11,400円+教材費

半年〜7ヶ月で「お金まわり」と「会計の基礎」の両輪が手に入ります。40代の限られた時間でこの2つを得られるのは、コストパフォーマンスとして悪くない選択だと感じます。

まとめ:迷ったら、自分の生活に近いほうから

この記事のまとめ

  • FP3級と簿記3級は、難易度・勉強時間ともに近い水準の国家/公的資格
  • 合格率はFP3級(特に日本FP協会)のほうが高めに出る傾向
  • 家計・保険・年金・相続を整えたい40代は FP3級 から
  • 仕事・副業・経営の数字に強くなりたい40代は 簿記3級 から
  • 両方取ると、家計と仕事の数字を同じ目線で見られるようになる
  • 順序に正解はないが、迷ったら合格率の高いほうから挑むのが現実的

40代の学び直しは、若い頃と違って「時間の使い方」がそのまま結果を決めます。だからこそ、「どちらが正解か」を悩むより、いま自分の毎日に近いと感じるほうからまず一歩を踏み出すのが、いちばん早く前に進める方法だと感じています。

FP3級も簿記3級も、踏み出してみると思ったより日々の景色が変わる資格です。同じ40代として、納得のいく一歩を選べますように。

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